Back number(2007年9月)
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「日本はまだ暑いね。

September 28, 2007

パリは死ぬかと思う程、寒かったけど...」なんて話をするたびに「8月はこんなもんじゃなかったよ!猛暑に酷暑で、まだ残暑だわ!」なんて、恐い顔でにらまれています。
 1週間程前に日本に戻りましたが、本当にパリは寒かったです。特に8月の前半は、真剣にコートを買わねば、死んでしまうと思うくらい。パリ在住の日本人に、パリの夏はこんなに寒いのかと聞いてみると、「今年は特別、でもパリの秋冬を先取り出来て良かったじゃない」なんて返事。
 そんな寒くても、「パリ・プラージュ」で、セーヌ川の川岸の道路(普段は結構、交通量があると思う)を1ヶ月ほど通行止めにまでして、人工の砂浜やプールまで造って甲羅干しをするフランス人って、ちょっと変だと思う。
 ちなみに、イギリスのエディンバラからパリに遊びに来た日本人は「パリは暖かい。エジンバラは8度だから。」って言っていました。8度って...

P.S.
帰国前から iBook がご機嫌斜めで困ってます。1時間くらい続けて使うと、画面にノイズが入って消えそうになる。もちろん仕事にも支障をきたしています(オイオイ)。
そろそろ、OS 9 ともお別れかな? えー、まだ使ってたの?って言われそうですが。

カタコンブ

September 14, 2007

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に行ってきました。
 カタコンブとは地下墓地のことで、パリのカタコンブは、5世紀末まで使われていた採石場を利用し、1785年から100年かけて、手狭になったパリ市内の共同墓地から、無縁仏600万体を納骨したそうです。ちなみに、このカタコンブ、7ユーロの入場料で見学出来る、れっきとした観光名所です。(とは言え観光可能なのは、パリ市の地下全域に、蜘蛛の巣のように展開している洞窟の一部らしいですが)
 さて、カタコンブの入場券を買うと、ひたすら螺旋階段を地下深く降りることになります。結構、地の果てまで降りる気分です。螺旋階段が終わると、今度は仏様の埋葬地まで、薄暗い洞窟の中を進みます。ちょっとした探検気分です。とは言え、ここはパリの観光名所。自分以外にも幾人もの観光客やデート中(?)のカップルの姿も。
 だから、いざ洞窟の壁にぎっしり積まれた人骨の山を見ても、恐怖とか畏敬の念を抱くとかいう感じではありませんでした。それよりも、頭蓋骨で十字架や水平線を壁に描くように配置していることが興味深かった。って言うか、ハート・マークまである!みたいな。まるで、納骨時から、この場所が観光地となることを目論んでいたのではないだろうか。そんなことを思わされる、人骨の積み上げ方です。フランス語は読めないので詳しくは分かりませんでしたが、昔の貴族が蝋燭を持って洞穴を進むイラストが入り口に展示してあったので、もしかしたら、納骨直後(もしくは納骨前から)、すでに観光地になったのかもしれません。
 パリに来て思うのは、フランス人は文化を金に替えるのが(観光化するのが)、いかに上手い国民であるか、ということです。美術館を例に挙げると、ルーヴルの地下はショッピングセンターがあり、美術鑑賞の後はゆっくり買い物をして帰って下さい、と言っているようです。ポンピドゥーの前は、京都の清水寺や銀閣寺の参道のお土産物屋を思い起こします。オルセーには世界中の美術教科書に作品写真を売り込んでいるのではないかと思われるくらい、見たことのある作品が並んでいます。
 そのようなことを思い、地の底から上がってきたら、出口は、メトロの前の分かり易かった入り口とは異なり、住宅街の裏口でした。ちょっとした秘密クラブの体験をしてきたような演出(?)が、また心憎い。
 その後、墓地続きで、近くのモンパルナス墓地に行きました。著名人も多く埋葬されている有名な墓地です。学生らしき二人連れが、墓地の管理職員に、著名人の墓の場所を聞いているのを見ました。
 流石パリ、流石フランス。有名人の墓も無名人の墓も観光地にしてしまう、したたかさ。これからは日本も文化を金に替えなければ、などとよく言われますが、それでも、ここまで上手に金に替える 浅ましさは 必要はないと思いますよね。

ヨーロッパ写真美術館

September 4, 2007

に行ってきました。
 パリの美術館は無料で入館出来る時間帯や日があったりします。例えば、ルーヴルオルセー等の多くの美術館は、毎月第1日曜日... んん!、って、この前の日曜日じゃん!どこも行ってないや !!(涙)

 え〜っと、気を取り直して(って言うより、相当バカな自分)、ヨーロッパ写真美術館は毎週水曜日の17時以降が無料です。普段はあまり入館者を見ない美術館の入口ですが、この時間帯になると、次々に人が、吸い込まれるように入っていきます。勿論、私もこの時間帯に入館。日本の美術館も入館無料の日を作れば、何よりも宣伝にもなるし、閑古鳥が鳴くこともないのでは?(なんて言える立場ではないですネ...)

 美術館の門をくぐると、すぐ横にあるのは田原桂一の庭でした。さすが、フランスで認められた写真家。でも、いくら写真美術館とは言え、田原桂一に庭の設計(作品)を依頼をするフランスってどうなの?
 さて、美術館の展示ですが、こぢんまりした展示室が多数あり、様々な企画が併設して開催されていました。なので、結構、多くの作家の作品を一度に見ることが出来ます。澤田知子もありました。でもフランスに来て、日本でも見たことがないオリジナル(と思うけど)の「ID400」を見るとは思っていませんでした。う〜ん、フランスなのに日本人の話バッカリだ。

 企画のほとんどは数人の写真家の写真を展示したものでしたが、個展形式の企画も一つありました。Charles Matton という作家で、ちょっとホラーな部屋の模型を造って、それを写真に撮った作品です。写真以外に(写真も立体写真みたいなものもあったりするのですが)実際に造った模型も展示されており、その模型は精巧とかキモいとかいうだけでなく、部屋の奥に鏡を置いて部屋の大きさを実際以上に広く見せたり、またその鏡にカメラを写さないように、鏡の角度を斜めに向けたりと、ちょっと変態チックな執着心を感じさせる作品でした。
 そう言えば、澤田知子の「ID400」も自動証明写真機の中で400回も服を着替えたり、カツラをつけたり、化粧を変えたりなんてしながら、撮影していたのだと思うと、ちょっと異常な執着心を感じます。
 そんな執着心が無いと写真家としてはダメなのだろうか、などと思いながら、ちょっと微妙な気分で美術館を後にしたのでした。

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